夢追い人応援プロジェクト 応援者インタビュー

プロスノーボーダー 児珠 藍

元看護師という異色の経歴を持つ児珠さんにプロスノーボーダーを目指したきっかけと、現在国内強化選手として活躍するまでに至った経緯を語っていただきました。

―――― 児珠さんは元看護師とお伺いしましたが、昔からスノーボードに興味があったのですか?

私は元々山形県出身で地域としてはウィンタースポーツのメッカで生まれ育ちました。でも実はファミリースキーを年に何回か楽しむ程度で、スノーボードは20歳で東京にくるまで一度もやったことはありませんでした。

元々母が看護師だったということもあって、漠然と将来は自分も看護師になろうと考えていて、高校を卒業し国家資格を取得しました。

それでせっかくなら地元以外の土地も経験してみようということで関東に移り看護師として働き始めました。

―――― どんなきっかけでスノーボードに興味を持ったのですか?

結構自分にとってはセンセーショナルな出来事だったんですが、時はtorino オリンピックの時にさかのぼります。2006年ですから私が看護師として働き始めてから数年が経った頃ですね。

看護という業界はとてもストレスがかかりますし、働くうちに自分はこのままずっとこの業界で働いていてよいのかな、と疑問に感じ始めていました。

そんな時にテレビで中継されていたtrinoオリンピックの映像を見ていて衝撃を受けたんです。

1人の日本人女性が海外の選手に混じり活躍している姿がそこにはありました。

当時競技の名前すら知りませんでしたし、スノーボードの経験も数えるほどでしたが直感的に感じてしまったんです。

「私もオリンピックに出たい!スノーボードがしたい!」

もうそうなってからは早かったですね。周りの反対を押し切って貯金を全部はたいて専門学校に入学してプロを目指すことにしました。

今振り返っても不安のある選択をしたと思いますが、当時は可能性がある/無いという考えよりも、とにかく「やりたい」という気持が自分を突き動かしていました。

―――― 専門学校に入学されてからはいかがでしたか?

そうですね。私の入学した学校には数十名の同期入学者がいましたが、元々幼い頃からの経験者も沢山いました。

そこにきて私は数えるほどしか経験もありませんでしたし、歳だってまわりの子達と比べると若くはありませんでした。多くは高校を卒業したての子でしたから。

最初はとにかく全然通用しなかったです。でも仕事を辞めてまで決めた道ですし、自分には覚悟がありました。だから簡単には諦めなかった。

幸い学校は周りに何もエンターテイメントの無い環境で、ただひたすらトレーニングに特化した環境でしたから、目標に向かって打ち込みやかったです。とはいっても最初は大会に出たって全然成果なんて出せなかったですけどね。

はじめて結果が出始めたのは入学して2シーズン目の全日本選手権です。

この大会で3位以内に入賞すればプロ資格が与えられるため、私にとっても重要な意味をもつ大会でした。

地区大会を勝ち抜いて実際にレースが開始した時に、ふと自分の中に「自分がこのままプロになって大丈夫なのか?」という疑念がふと頭をよぎったんです。

するとあれよあれよという間に抜かれてしまって、結果は9位。プロ資格獲得はなりませんでした。

悔しいなという気持もありました。しかしそれ以上に強く感じたのは、「自分が自信を持ってプロになる資格がある」と胸をはれない人はプロになれない、という思いでした。

そこからもう一年トレーニングを重ね、翌年の全日本選手権で2位に入賞しはれてプロの仲間入りを果たしました。

―――― 実際にプロになられてから児珠さんの生活も一変しましたか?

正直私もそう思っていたんですけどね、最初は。プロになったら勝手にスポンサーがついて自分は大会で入賞することをストイックに追いかけていればいいって。

でも現実はそんなに甘くはありませんでした。

スポンサーだって自分で売り込みにいきましたし、大会で成績を残さないと賞金も得ることが出来ませんでしたし。

食いぶちが確保された訳ではありませんでしたから、今考えるとプロに成り立てのこの時期は金銭的に辛かったですね。正直やめたいと思った時期もありますよ。

それでもやっぱり今までやってこられたのは、支えてくれる人の存在だと思います。

一緒に夢を追いかけてくれるスポンサー、相談に乗ってくださるコーチ、その他にも常に私を支えてくださる方々のおかげでようやく今に至っているなと感じています。

これから同じ夢を目指す人達向けてのメッセージ

よく「絶対王者」とか「彼女は十中八九金メダルだ」とか言う表現をききますけど、勝負の世界に絶対はないんですよね。

実際に今までのオリンピックを見ていてもそれが覆されたケースは少なくありません。自分の強みを理解してうまくそれを出せる人が勝てるんだと思います。

難しい事に挑戦する人は誰しも最初は辛い時期を経験します。しかし頑張っている人には必ず応援者が現れます。そこまでは我慢の時期です。

私もプロになり立ての頃は、あと一日。あと一日。と思って日々出来ることを積み重ねていきました。

皆さんと同じく私もまだ挑戦者です。夢を目指した初心を忘れずに一緒に頑張りましょう!